「周りの院もやっているから大丈夫」「SNSは広告ではないから自由」。
その認識は、2026年の現在、経営における最大のリスクです。
整骨院(柔道整復師)のInstagram運用は、スマートフォンの普及とともに急速に一般化しましたが、同時に法規制との衝突を生んでいます。特に近年は、行政のAIツールによるパトロールや、ステルスマーケティング規制(ステマ規制)の厳格化により、「知らなかった」では済まされない状況が生まれています。
本記事では、最新の法令(柔道整復師法、医療広告ガイドライン、景品表示法)に基づき、「行政指導やアカウント凍結(BAN)を回避しつつ、患者様から信頼されるホワイトリスト運用戦略」を徹底解説します。
前提:整骨院広告の「ポジティブリスト方式」とは?
このセクションの要点
整骨院の広告は「書いてはいけないこと以外は自由(ネガティブリスト)」ではなく、「法律で認められたこと以外は一切書いてはいけない(ポジティブリスト)」という極めて厳しいルールで管理されています。
多くの院長先生が誤解されているのが、この法構造の根本です。
一般的な飲食店などの広告は「嘘や誹謗中傷でなければ自由」という「ネガティブリスト方式」です。しかし、整骨院(医業類似行為)は違います。
『柔道整復師法』第24条により、広告可能な事項があらかじめ決められており、それ以外は原則として一切広告してはならないという「ポジティブリスト方式」が採用されています。
Instagramも「誘引性・特定性・認知性」の3要件を満たすため、原則としてこの第24条の厳しい制約を受けます。
(出典:長野県公式サイト:あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう、柔道整復の業及び施術所の広告について)
2026年の脅威:AI監視と「デジタルタトゥー」
このセクションの要点
行政の監視体制はAI化され、違反ワードは自動検知されます。さらに、ステマ規制違反による「公表」は、院のブランドを破壊するデジタルタトゥーとなります。
「バレなければ大丈夫」という時代は終わりました。現在は以下のリスクが顕在化しています。
- ■ AIパトロールと通報:
AIツールによるネットパトロールに加え、競争激化による同業者からの通報が活発化しています。保健所への通報から行政指導、最悪の場合は監査へと発展します。 - ■ 措置命令の公表(デジタルタトゥー):
ステマ規制違反などで消費者庁から措置命令を受けると、事業者名(院名)が公表されます。これは「不正を行った院」としてネット上に残り続けます。 - ■ プラットフォームによるBAN:
GoogleやMeta(Instagram)は、不自然な口コミやエンゲージメントを検知し、アカウント凍結(BAN)や検索圏外への追放を行います。
(出典:全国柔整鍼灸協同組合:広告制限の違反から罰金への過程)
【絶対NG】AIが即検知する「レッドリスト」表現
以下の表現は、明確な法令違反(柔道整復師法、景品表示法、医療法準用)となります。これらはAIが容易に検知するキーワードです。
| 違反カテゴリ | 具体的なNGワード・事例 |
|---|---|
| 比較優良広告 (他院との比較) | ✕ 「地域No.1」「県内唯一」「口コミランキング1位」 ※事実であっても、医療分野での客観的比較は困難であり、患者を不当に誘引するため禁止されています。 |
| 誇大広告・効果保証 (大げさな表現) | ✕ 「完治」「即効性」「神の手」「根本治療」 ※「治療」という言葉自体、医師法抵触の恐れがあります。「施術」を使用してください。 |
| 患者体験談 (自院媒体への掲載) | ✕ 「痛みが消えました!」などの感想掲載 ※個人の感想は効果を保証するものではなく、他の患者に誤認を与えるため原則禁止です。 |
(出典:リハサク:整体院が注意すべき広告表現とは?、広告ガイドライン違反事例集)
「ステマ規制」と口コミ戦略の転換
このセクションの要点
口コミ投稿に対して「対価(割引や物品)」を提供することは、投稿内に「#PR」がない限り違法です。
2023年10月施行のステマ規制により、従来の口コミ集客手法の多くが違法となりました。
明確な違法行為(Red Zone)
- ✕ 対価を伴う依頼: 「口コミ投稿で500円割引」「湿布プレゼント」などは、利益提供と引き換えの広告とみなされます。
- ✕ なりすまし投稿: スタッフが一般患者を装って高評価を書き込むことは、ステマ規制違反かつ優良誤認表示です。
唯一の適法な道(Green Zone)
「一切の対価や条件を提示せず、患者様の自発的な意思に任せて口コミをお願いする」ことのみが適法です。
【ホワイトリスト戦略】法的に強く、魅力的な運用法
では、何も投稿できないのか? いえ、違います。
法律で認められた情報(ポジティブリスト)と、規制対象外である「院の雰囲気」を魅力的に伝えることこそが、最も安全で効果的な戦略です。「効果」ではなく「信頼」を訴求しましょう。
| カテゴリ | 具体的な投稿内容(Safe Content) |
|---|---|
| 施設・設備の紹介 | 清潔な待合室、広い駐車場(写真可)、キッズスペース、最新の空調など。 「快適に通える環境」を見せることで、来院のハードルを下げます。 |
| スタッフの人柄 | 日常の風景、研修会での勉強姿、趣味など。 「治せます」という能力の誇示(経歴等)は避け、「親しみやすさ」「勤勉さ」を伝えます。 |
| 施術プロセス | 実際に包帯を巻く動画や、施術姿勢のデモ。 「効果」ではなく「どのような事をするか(内容)」の透明性を高めます。 |
| 健康情報 | 「自宅でできるストレッチ」などの一般情報。 最後に「治らなかったら当院へ」と誘導すると広告とみなされるリスクがあるため、純粋な情報提供に留めます。 |
(出典:接骨院・整骨院の広告規制・広告ガイドライン【2025年最新】)
まとめ:透明性こそが最強の「信頼」
2026年の整骨院マーケティングにおいて、法令遵守は「縛り」ではなく「差別化要因」です。
過激な表現やステマに頼る院が淘汰されていく中で、法律を守り、料金やプロセス、リスクを正直に公開する院こそが、情報感度の高い現代の患者様から選ばれます。
「法律を知らなかった」で経営を危険に晒すのではなく、正しい知識を武器に、持続可能な院経営を目指しましょう。
💡 the N からの一言
Webって、ちょっとしたことで「大丈夫かな?」って思われやすい世界。
だから最初から、安心できる作りにしておくのがいちばんです。
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